オレリア・ミシェルの黒人と白人の世界史――「人種」はいかにつくられてきたか (原題 Un monde en nègre et blanc)を読んだ。原題の意味するところは「黒と白の世界」で、日本語に翻訳すると直接的過ぎるような表現になっている。それからすると日本語のタイトルの方が穏当のような気がする。しかし、本書が扱っているのは、黒人と白人という単純なことではなく、人種というのはどこからやって来た概念なのかという事を歴史的な背景から説明している。そのために、本書の大部分は15世紀から始まる大西洋貿易時代の奴隷制に費やされている。著者は人種という概念は、奴隷制が消滅していく18世紀末から19世紀…