友人が言っていた。川崎重工業(株)に出張にいくとまずは同社のプレゼンから始まると。そこで必ず技術の歴史として紹介されるのが「飛燕」という。 飛燕。好い名前だ。ツバメは放っておいても飛ぶのだがそこに「飛」という漢字を加えるところに気概と期待がある。「ひえん」と呼ばせるのも良い。自分に男の子が生まれたら、飛燕という名前か、鍾馗、ないしは雷電と言う名前を付けたいという密かな願いもあったが、二人のお姫様に恵まれた。 川崎航空機により設計生産された日本陸軍三式戦闘機・飛燕は実用機としては日本のパイオニアだろう。液冷エンジンを搭載した初の本格的な戦闘機だった。当時の日本は星形空冷エンジン一辺倒で、液冷エン…