山口裕之『ひとは生命をどのように理解してきたか』(32) 今回は、第4章 機械としての生命 第1節 生命の分析 の続き(p.170~)である。 我々は「あるがままの記述」を理解できない 生命を構成するすべての分子の運動を記述することができれば、それは確かに生命についての可能な限り外在的な意味づけを取り去った記述である。しかし、細胞内の化学反応の経路の全体を示す図面を示されたときに、我々は「複雑すぎて意味が分からない」と思ってしまう。生命についての可能な限りあるがままの記述は、我々に「生命とは何か」という問題に対する答えを与えてくれるものではないのである。 外在的とは、「独自の論理に従っているも…