先日、市川準監督の映画『トキワ荘の青春』(1996年)を見た。この映画は、本木雅弘が演じる漫画家・寺田ヒロオを主人公にした、著名な漫画家たちが住んでいたことで知られるトキワ荘を舞台にした青春映画。そのとき私と寺田ヒロオとは接点はなさそうだと思っていが、実は小学館の学年誌に連載されていた「カーブくん ドロップくん」(1971年)という少年野球漫画を熱心に読んでいたことを思い出した。学年誌の連載漫画などは、よほどの大御所でもない限り目にする機会はないだろうと半ば諦めていた。寺田はトキワ荘の住人としては有名であったが作品自体は顧みられることが少なく、作品にアクセスしにくい幻の作家とされていたが、21…