美しいピアノトリオが、またひとつ 初物である。 キット・ダウンズというイギリスのピアニスト。 北欧やイタリアなど、本当に多くの耽美的なアプローチが売り物の ピアニストが数多いて、少々、辟易としている状況の中、 三者のインタープレイが構造的で、奥ゆかしく、硬質で、 抑制の効いた、素晴らしいピアノトリオが登場した。 全体的な印象として、まさしくECMの音にはなっているのだが、 なんというか、独りよがりのマスターベーションではなく、 非常に建築的というか、構成的な見取り図の制限の上に、 伸びやかに室内楽的に対話する構図がなんとも深淵で、魅力的。 キット・ダウンズのピアノ自体も、これまで聴いたことのな…