キース・ローマーの作品を読んだのは、この「多元宇宙SOS」が初めてである。 タイトルから予想したのは、「多元宇宙論(マルチバース=multiverse)にテーマもしくはモチーフを求めた物語だろう、」ということだったが、それにしてはゴリラとオランウータンを思わせるシルエットをあしらったカバーがそぐわないようで、違和感を覚えた。 そしてページを繰り始めると、すぐ、標題紙に"The Other Side of Time"という原題が記されているのが目に入り、「これを『多元宇宙SOS』などと軽くしたのは、例によって大衆受けを狙った出版社の愚策か、」とのっけから些かげんなりしてしまったのだが…… 内容に…