「いい! 夕食まで部屋でしっかり勉強してるのよ。すぐに呼びに来るからね」 「……はい」 強く言われて、結局野々野小頭は自身の部屋へと続く階段を上がる。この家には外に出る導線として、表の玄関とキッチン横の裏口がある。けどどっちも母親は気にしてるだろう。実際キッチンの近くの裏口はそもそもが使えない。なにせ母親がそこにいるんだからもしも外に出るとしたら普通なら玄関一択になる。 けど母親はリビングとかの扉を開けて、しっかりと音とかを気にするようだ。階段から降りるとき、どんなに気を付けても「ギシ、ギシ」と鳴ってしまう。それに玄関の扉だってガチャ……という音がする。実際どっちにもそんなに大きくはない。テレ…