(犯人は明示していませんが、ほぼほぼ、わかってしまいそうなので、未読の方はご注意ください。) 『切られた首』[i]は、クリスチアナ・ブランドの第二長編で、1941年に出版されている。アメリカでは翌年の刊行だが、第一作の『ハイヒールの死』の公刊が1954年らしいので、同国ではデビュー作だったようだ[ii]。アメリカの出版社が、『ハイヒールの死』に難色を示し、本書にはO・Kを出したのだとすれば、なかなか興味深い。対照的な二冊と思えるからである。 『ハイヒールの死』は、ロンドンの服飾店を舞台に、大勢の若い美女たちが、しゃべりちらすミステリで、こちらのほうがアメリカの読者向きのような気もする。『切られ…