No.003 目の前が真っ暗、いや一面灰色の世界だった。肩を組んだままの二人は茫然としていた。 「コウ、俺、目が見えなくなった。」前を見たままのケイは、不安そうに言った。 「違うよ。僕もケイちゃんしか見えない。」 ケイは、コウのほうを見て安心した。 「よかった。でも、どうしんたんだ。」現状を理解したケイは、不安そうに言った。 「ケイちゃん、このまま後ずさりしよう。」コウは、何かを思い出した。 コウの父親は、普通の会社員だった。高卒で、これといった趣味もない。 取柄というものは何もないけれど、それでいて知識だけはすごかった。雑学からオカルト情報まで、コウは小さい頃いろんな話を聞いた。 そんな話の…