前報(聖なる植物(1))では,『銀河鉄道の夜』の天上に登場する植物には段階性があり,植物は「俗」から「聖」の順序で配置されていることを報告した。「聖」として登場するのは,「楊」,「唐檜」、「もみ」そして「くるみ」である。物語の最終章では,「ケンタウル祭」という「祭り」が出てくるが,賢治がなぜ「唐檜」と「もみ」を「ケンタウル祭」の聖木としたのかが疑問として残った。本稿では,「唐檜」や「もみ」と「ケンタウル祭」の関係を明らかにしていきたい。本稿では再度,「ケンタウル祭」が出てくる場面を記載する。 その火がだんだんうしろの方になるにつれてみんなは何とも云へずにぎやかなさまざまの楽の音や草花の匂(にほ…