←前サヴァジャー試験当日。この日は雨で、あちこちに水浸しができている。さあぁと振り続ける雨は強くはないものの、いたずらに仕込まれる泥濘みは天然のトラップだ。今日も過行く人の足を、車輪に手をかけ、彼らに土と水の洗礼を与えていくのだ。雨は火属性や光属性にとっては都合の悪い天気だ。特に火属性は野性の出力が水により阻害され、思うように力が出せない。参ったな、と試験用の闘技場の控室で準備をしながら、ララテアはため息を一つついた。「むしろ好都合ですよ。自分の力を示す場としては」対してクレアはというと動じることなく落ち着いていた。彼女の野性の術の中にはいくつか陽光量に依存する。野性の出力が制限されるのではな…