多数者が利用できる共有資源が乱獲されることによって資源の枯渇を招いてしまうという経済学における法則。
生物学者のハーディン(G.Hardin)は同名論文(1968年)の中で,農民がより多くの利益を求めて牛を放牧するために共有地(コモンズ)を自由に利用できる限り,共有地の荒廃は防ぐことはできず,結果的にすべての農民が被害を被ることを指摘し,コモンズの悲劇と呼んだ。
Book Review 36-13気候 #気候リヴァイアサン 『#気候リヴァイアサン:惑星的主権の誕生』(ジョエル・ウェインライト, ジェフ・マン著)を読んでみた。前者は、オハイオ州立大学地理学部教授。専門は批判的地理学。マルクス主義やポストコロニアリズムの理論を中心に様々なテーマで研究活動をおこないながら、気候正義運動などに積極的にコミットするアクティヴィストでもある。後者はサイモンフレイザー大学地理学部教授。専門は政治経済学。ニューヨーク市を拠点とするシンクタンクでシニアフェローを務めており、政治思想やマクロ経済学の観点から金融・財政政策の歴史を研究している。 気候温暖化というより今や地球…
恒例のエントリー。本稿では今年出版された書籍ではなく、前年の同エントリー以降に読んだ書籍の中から10冊を取り上げます。 以下、順不同で。 北尾早霧、砂川武貴、山田知明『定量的マクロ経済学と数値計算』 定量的マクロ経済学と数値計算作者:北尾 早霧,砂川 武貴,山田 知明日本評論社Amazon 2024年6月刊。マクロ計量モデルによるシミュレーションを、主としてベルマン方程式と動的計画法により行う。前半は数値計算手法を整理し、後半はビューリー・モデル、世代重複モデル、NKモデル、クルセル・スミス・モデル等、実用的なテーマを取り上げる。コードは別途GitHubで提供されているが、主にJuliaとMA…
今日は県立図書館で宇沢弘文についての講演会があったので聴きに行ってきた。 講演会は午後からだったので、昼前に腹ごしらえにイオンモールに行ってはなまるうどんの鶏ネギ塩うどんを食した。イオンモールは、日曜でイベントもあったからかごった返していた。家族づれがとても多かった。一人で行ったので、なんだかとても惨めで恥ずかしい気持ちになった。うどんは美味しかった。 宇沢弘文のことはほぼ知らず、宇野弘蔵と勘違いしていた。宇野弘蔵もほとんど知らないが。 宇沢弘文は、40歳までは数理経済学者として世界トップクラスの経済学者だったらしい。シカゴ大学の教授をつとめる。同僚にも教え子にも、よく聞く学者が並ぶ。普通に数…
概要:ある日の夜、寝ぼけたのび太が家の中のピンクの靄を通り抜けると、そこは見知らぬ森であり、擬人化された動物がしゃべる場所だった。もちろんまったく信じてもらえなかったが、ひょんなことから他の4人もこの不思議な世界に紛れ込んでしまう。どうやらここは地球とは異なる「アニマル惑星」。非常に進んだ科学力によって再生可能エネルギーを用いたクリーンな社会を実現し、つつましく暮らしていた。一方、かつての野放図な開発や核戦争によって文化レベルが完全に落ちた種族「ニムゲ」の過激派は、かつての栄光を取り戻すためにアニマル惑星の侵略を企んだ。感想:この時期の流行だった「反開発」系のアニメ。登場人物が全体的に「人の話…
四条市の「うちぬき」というのは観光名所だと思っていたら、現在も住宅地のあちこちに水が湧き出て、干拓地を潤し続けていることを知りました。 Wikipediaの「うちぬき」の「概要」を読むと、生活用水も不自由しないぐらいほどのようです。 西条市街地の湧水はあまりにも豊富で生活・産業用の水需要を十分に満たせるため、中心市街地等については公共下水道は整備されているが、上水道は整備されない「計画外区域」となっている(このようなケースは日本全国の自治体でも稀有である)。 地図で見つけた、干拓地があるのに河川が少ない地域そして瀬戸内海気候で雨が少ない地域が、むしろ全国でも少ない、水が豊かな場所だったようです…
月刊 犬々の日々 10月 みんな人間理解が浅いよ! 犬々の日々 音楽、ポッドキャスト 読書会 映像類 文字類 その他 犬々の日々 10/1(火) 会社の式典だった。会社の人が騒ぐのを見るのが嫌で、一旦タリーズに逃げた。終わるまで参加せず隠れていようと思ったのにそうはいかなかった。良い先輩に「こういうのはとにかく壁際で食べてるといいよ!」と教わって、明るい場所に引き摺り出してくれる人はなんてありがたいんだろう、ごめんなさいと思った。 式典が終わって片付けに行ったら、大嫌いな元上司が酔っ払って騒いでいて、最大限の冷たい目を向けてしまった。片付けの指示を出している人に「〇〇(私)さんは風船を割ってく…
ほぼメモ 第5章 pp. 154あたりから 食べ物の互酬関係を類人猿まで関係付けられる利他性として理解している。特に肉。『経済の文化人類学』、『食べる人類史』あたりと対象とする行為を共有するが、見る側面が異なる。視点の差による解釈の違いが面白い 第七章 pp.205- そういうタイトルの本だが、ヒトの脳には契約違反を理解する能力が備わっているという説が面白い。述語論理が入っているかあやしいが、一定の文脈なら判断できるらしい。脳科学に初めて関心が湧いた pp. 213 この本では「合理主義」を囚人のジレンマにおいてナッシュ均衡に陥る論理の意味で使っていることに気付いた。相手とのやりとり、感情(と…
大分駅前広場に設置された公営授乳室、目的外使用というか男性を含む人々による飲酒、喫煙、飲食により廃止が決定したそうです。運営する自治体にも仕事や制約が多く大変なのだと思いますが、先進的な試みが残したのは目に見えていた失敗だけでした。 今回の出来事で公営施設に目的外侵入して公共良俗に反して覗き穴を作っても施設が閉鎖されるだけと判明しました。今後は博物館や美術館、公営こども園、あるいは役所に同様の行為をしても同様に対処される可能性があります。 残ったのは悪意だけ。責任ある大人は子供たちに何を残したかったのかと本音では思います。同時に壁を超合金にして復活しないかと期待もしています。 追記 この手の設…
薄曇り時々晴れ、夕方から本曇り。14.5℃~24.4℃、52%。7600歩。北寄りの風やや弱し。もうちょいで夏日だがただの秋の日。 コモンズの悲劇とは: 誰でも自由に利用できる公共資源(コモンズ)が、個人・私企業の利益を最大化するために過剰に利用されることで枯渇し、回復できないほどのダメージを負う現象です。 こりは民の想像力の欠如も原因の一つだとゆわれまふ。いわゆる「今だけ、ここだけ、自分だけ」の三だけ思想ですね。これやってると知らない間に公共財が棄損されて行きまふよっと。 自分だけが利益を受けようとすると、そもそもの富み自体が回復不可能なダメージを受けて、結局は自分も自滅すると。こりを避ける…
「共有地(コモンズ)の悲劇」とは? 誰もが利用可能な共有の放牧地で、ある人が利益をあげようと家畜数を増やしていったとする。そうすると、牧草が不足して、全体としては損失が生じてしまう。さらに、他の個人も、自分も利益をあげたいと羊を増やしていったとすると、結果的には牧草がいよいよ減っていき、最終的には全員が放牧できなくなる。これが「共有地(コモンズ)の悲劇」というジレンマである。 これを帝国書院の「公共」では、詳しく取り上げ、以下のような場面設定で考察させようとしている。 場面設定:「ある村に5人の村人がいる。村には村人が共同で所有する牧草地(共有地)があり、そこで一人20頭ずつの羊を飼っている。…
「Navigating Complexity of Cognitive Load in Software Product Development」という本を読んだのでメモ。 learnhow.simplification.works 認知負荷という言葉が浸透して久しいが、この記事では、認知負荷を「制限する」組織設計パタンは従来の組織構造(ピラミッド型、狭い所有権による統治)に迎合したパタンであり、組織レベルで価値提供能力を高めるための課題を解決していないのでは? という疑問について考察する。 具体的には、認知負荷理論について軽く解説し、本書で示される2種類の組織設計パタン、技術的所有権(狭い所…
もやもやすることを書き殴ったのでそれへのコメンタリーを日記にしようと思います。 忍耐力について。実は最近、ポケモン剣盾を英語でやっています。そこでホップくん(ライバルトレーナーの男の子)が序盤に「あなたはせっかちね…!言うけど、あなたにはpatienceが必要よ」と言われていたのが結構心に残りました。patienceは忍耐力が訳語として多く、英語のWikipediaには難しい状況下で耐える状態のこと(てきとう和訳)とあったのでそんな感じの意味でいいのだと思います。 私、ホップくんというか……ポケモン剣盾のシナリオがすごく好きなんですよね。彼に限らず、「挫折した人」というのが沢山登場するので。 …
2024.03.10 NFTの過剰供給が金のガチョウを殺すだろう(An Oversupply of NFTs Is Going to Kill the Golden Goose) テーマ:英語のお勉強日記(7815) カテゴリ:NFT An Oversupply of NFTs Is Going to Kill the Golden Goose NFTの過剰供給が金のガチョウを殺すだろう Welcome to the new tragedy of the commons コモンズの新しい悲劇にようこそ Illustration: Julia Moburg/Medium; source: Get…
問い:長期にわたって持続的で自律的な共的資源管理を可能にする社会規範は、どうして維持されてきたのか? 入会地とか里山とか、なんだか素晴らしいもののように語る人たちのことがちょっと苦手だ。「協働」とか「絆」って言葉も、目の前に突きつけられるとちょっとビビる。 吉本隆明が「人間は本当はひとりで生きたいのだが、仕方なく社会をつくった」みたいなことを言っている。たしか『中学生のための社会科』という本の中に書いてあったと思う。 吉本さんがそういうことを言うのは、「孤独」というものが人間の核にあるのだという人間観を持っているからだろう。吉本さんに影響を受けている糸井重里は「ひとりでいるときの顔が想像できな…
イントロ コモンズのガバナンス―人びとの協働と制度の進化―作者:エリノア・オストロム晃洋書房Amazon 授業準備でいろいろと本を読まないとならない。私は遅読なので、なんでもかんでも読んでるわけにいかないから、読むべき本を効率的に絞り込んでいくしかない。 せっかくなので、もう少し方法論という奴を取り入れて読んでいきたい。例の『独学大全』に出てくる本の読み方を実践してみるのだ。 独学大全――絶対に「学ぶこと」をあきらめたくない人のための55の技法作者:読書猿ダイヤモンド社Amazon 今回扱う本はオストロムの『コモンズのガバナンス』。「コモンズの悲劇は現実には必ずしも発生しないよ」というのを実証…