「「尽十方(じんじっぽう)」といふは、逐物為己(ちくもついこ)、逐己為物(ちくこいもつ)(物を逐(お)ひて己(おのれ)と為し、己を逐ひて物と為す)の未休(みきゅう)なり。情生智隔(じょうしょうちきゃく、情生ずれば智隔たる)を隔(きゃく)と道取(どうしゅ)する、これ回頭換面(ういとうかんめん)なり、展事投機(てんじとうき)なり。逐己為物のゆゑに未休なる尽十方なり。機先(きせん)の道理(どうり)なるゆゑに機要(きよう)の管得(かんて)にあまれることあり。」 「尽十方」この大宇宙というものは、物と自分はともに大宇宙の一部であって区分されるものではないから、物を追いかけても自己であるし、自己を追いかけ…