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サイレントテロ

(一般)
さいれんとてろ

現在の社会状況、または自らの置かれた社会的状況に対して悲観的観測を抱きながら、それを「現実」として受け入れようとするときに起こる人々の行動(ある意味で反動)。
その「悲観的状況こそが「現実」なのだ」と諦観する、一種の「絶対観」的な「現実肯定」に基づいて、「スロー消費」「非婚・晩婚化」「少子化」「NEET」「ひきこもり」「自殺」などのように、さまざまな社会活動――消費行動や人間関係、ひいては自らの生存そのものを消極化、縮小、または消滅させていくこと。
これらの消極的かつ間接的な暴力によって、意図するとせざるとにかかわらず、「見えない社会の空洞化」が引き起こされる。現在の社会に対する消極的抵抗、あるいは沈黙の異議申し立てであるといえる。


関連:
マイクロテロ
自爆テロ
テロ


解説:
その性質面を見るに、広義での「自爆テロ」の一種だといえる。
これらの「消費しない」、「子供をつくらない」、「働かない(働けない)」、「生きることをしない」という行動は、快楽を得ること、あるいは子孫を残そうとすること、また自分の命を守ることなどに対して、自らそれらを犠牲にするような行動であり、「自らの生存を維持する」という生物としての基本的な行動原則に反するものである。
生物として本来ありえないそれらの行動は、端的に自殺的な行動であるといえる。


なぜ、それらの自殺的な行動が起こるのか。
それは、悲観的な現状を「現実」として生きようとする人々の現実主義的な判断や、未来における自己像に希望を抱けないことによる。
自爆テロやマイクロテロが、グローバリズムという市場原理に対する抵抗活動、異議申し立てであったのに対し、このサイレントテロは、むしろ市場原理に即した行動であるともいえる。
自らが置かれた社会状況に対する「自己責任」であるとか、自由主義的な競争の「結果」を、甘んじて受け入れた上で生きようとする人々の「現実的な行動」が、社会活動を消極化、縮小させる方向へと向かい、結果的に「見えない社会の空洞化」を促進することにつながっているのである。


不満のはけ口を外部の対象に向けていた自爆テロやマイクロテロの主体となった人々に対して、サイレントテロの主体となる人々は、その多くが本来穏やかな人々、まじめな人々である。
それらの人々の、不満のはけ口を自らの内に収め、何とかそれを消化しようとする努力が、逆に、内なる暴力として社会の構造に対してより深刻なダメージを与えているのである。
また、サイレントテロは、その影響が社会的に表れにくいものであるため、そこに含まれる社会的メッセージは、マイクロテロと比較してもさらに読み取られにくいことになっている。
実際には、少子化の増加、NEETの増加、引きこもりの増加、自殺の増加といった情報は、大きく報道されているのであるが、あくまでそれらが個別の対処事項として取り上げられているために、多くの人々からは「現実的な対応」として「自分とは関係のないもの」として、見過ごされることがほとんどとなっている。


その実態が容易に表に表れない分、気づかないうちに深く進行するサイレントテロが社会に与える影響は、犯罪行為として表面化するマイクロテロに比べて、より深刻なものであるといえよう。


参考URL:
http://d.hatena.ne.jp/umeten/20050114
http://d.hatena.ne.jp/umeten/20050204

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