「甘いけどけっして甘すぎない。ほろ苦いココアを、マグカップを手で包み込むようにして少しずつのみ、胸の不安を消してゆく……三十三歳」(私をくいとめて/綿矢りさ) 原作ではみつ子は33歳。その歳に劇場で、「私をくいとめて」を観た。今年の8月に小説を読んでいたのだが、いま、パラパラとページをめくりながら映画と重ね合わせている。久しぶりに感想など残してみようと思う。 -- 「勝手にふるえてろ」のテンポと松岡茉優にやられてしまったわたしは期待しながらテアトル新宿へ向かう。「綿矢りさはキャラメルポップコーンでしょ!」と意味不明理論で、ひとりだけどポップコーンを買う。 まず印象に残っているのが、みつ子の部屋…