この展覧会のタイトルには“クールベと海”と謳われており、海の絵を大きなセールスポイントとしている訳ですが、これまで述べて来た様にクールベの絵にはその他多くの優れた分野があり、それらを展示の初めからスタートさせたため、海の絵は一番最後の展示ブースに飾るという結果になっていました。ここでやっと主たる展示目的の『海』に到達しました。先ずは、今回の展示法の常套手段として、クールベ以前の海について展示、解説が為されます。 18世紀以前においては、海そのものに(画家達の)関心が寄せられることはなく、それ以前の聖書や文学に記述された ‘ノアの洪水’ や ‘世界終末’ ‘船の難破’に対する恐怖を伴う畏怖の念か…