第6話 政略婚の最果て フランス本国では、女子の王位継承権を否定するフランク族の古法サリカ法が援用され、女王を輩出することは王制史上一度もなかったが、本国では地位が低かった十字軍騎士の子孫が王家となったパレスティナ十字軍王国では円滑な王位継承のため、女王を担ぎ出すことにも躊躇はなく、しばしば女王を輩出した。 ただでさえ、政略婚が常態であった中世の王侯社会であるが、十字軍王国の女王は自身や世継ぎの威信の獲得のため、婿を共同国王とすることから、とりわけ政略婚が常態化した。その最果てとも言えるのが、イザベル1世である。 イザベル1世は、共同国王だった異母姉シビーユとその婿ギー・ド・リュジニャンがサラ…