二十年程前。私の父親から突然電話があった。 父「かあさんが……死んだ。お葬式に帰って来い」 私「……そうか…急だな!」 人生とははかないものだ。元気だった母親が突然なくなるなんて、私には心の準備はまったく無かった。 しかし、その時感じたのは、「いつかは来るとは思っていたが、思ったより涙は出ない」ということだ。 まだ、実感が無いからか、案外冷静に電話を受け止めていた。これは、自分でも驚いた。 すると、父が驚きの言葉を口にした。 父「で、お前は元気か?今、お母さんと代わるから」 私「えっ?代わるの?」 すると、電話の向こうで母のやたらと明るい声がした。 母「元気なの!だったら良いよ!」 私「あの……