裏切り行為が認められる多人数プレイゲームで、サークルで遊ぶことによってサークル内の人間関係が崩壊すること招く可能性が高いもののことをこう呼ぶ場合がある。別名「人間関係破壊装置」
ディプロマシー(Diplomacy/AvalonHill)が代表格。その他にはマキャベリ(Machiavelli/AvalonHill)、フンタ(Junta/West End Games)などが上げられる。国内だとやっぱりドカポンシリーズが最たるものだろうか…。
あまり市民権を持っていなかった言葉だが、メディアで社会学者が使うようになったり、類似の概念である「オタサーの姫」が市民権を持ったことにより急速に普及しつつある。
男性の割合の多い文化系サークルやそれに似た性質を持つ職場に少数の女性が参加した後で、その女性をめぐる恋愛問題によって急にサークル内の人間関係が悪化し結果的にサークルが崩壊する現象がある。このときの女性を指す呼称。
ただし、そう呼称される女性への揶揄を念頭に置いた言葉ではなく、サークルが崩壊したという状況およびその主因となった男性たちへの揶揄を念頭に置いた言葉として用いられる。
サークル破壊女
粘着湯気女(イラストレーターの井上純弌と金澤尚子が、1993年ごろに提唱)
ゲーセンクィーン
ゼミクラッシャー
バンドクラッシャー
という呼び方もある(要補足)
サークルクラッシャーおよびサークルクラッシュ的事態への対処法は、サークル構成員の恋愛経験値がある程度高いコミュニティでは、「おばあちゃんの智恵袋」的な教養として受け継がれている。
よって、発生しても比較的みんな落ち着いて行動でき、「ああ、あいつってそういう女だよね、引っかかるあいつも童貞くさくてたまんねーよな」のように流されることが多く、コミュニティ崩壊にまで達するケースは少ない。
しかし、恋愛経験値の低い、非モテコミュニティになるにつれ、男ばかりのサークルに紅一点というケースが増えていく。(→ホモソーシャル)
よって非モテコミュニティー内部では、相対的に外部よりちやほやされる状況になるので、「自分も(この階層でなら)モテるんだ」という女性側の相乗効果を生み、手当たり次第に愛嬌を振りまいてゆく。
これがオタク・サブカル界隈におけるサークルクラッシャーの発生機構である。
これに対して、通常のコミュニティに発生するサークルクラッシャーは、逆に「無自覚」であることが多い。
男女比は「サークル内に1人」「同学年に1人いるかいないか」という極度の偏りがあったため、女性は「姫」と呼ばれて保護されるケースが多かった。そのため逆にオタク系サークルにおける恋愛問題=サークルクラッシャーになるケースは少なかった。
また会合の機会も、文化祭・SF大会といった大規模イベントを除いては、喫茶店・サークルスペースでの談話・読書会といった形態が多かった。
参考:新井素子は通称「素子姫」「姫」と呼称された。こうした「ウチの姫が……」といった表現形態は、ほかにもSFサークル同人誌をはじめとして各所で散見された。
岡田斗司夫 むかし僕が所属していたサークルでも、女の子はすごいモテてましたね。SF関係や特撮関係なんて男ばかりだから、「円谷英二先生がね」なんて話題にうなずいてくれる女の子ってだけでもう、宝の山掘り当てたようなもんでしたよ。
青木光恵 「そういう女の子おったんか!」みたいな(笑)
岡田 (なぜか思いっきり力をこめて)もぉ〜!「おったんか! ゴー!」(笑)
青木 モテましたよねえ、そういう女の子って。黙っててもいっぱい男が寄ってきて。
(岡田斗司夫「東大オタク学講座」講談社より)
80年代半ば以降、空前のファンタジーブームとバンドブームが、オタク・サブカルそれぞれの領域を席巻する。これによりオタク・サブカルサークルにおける男女比が相変わらず不均等ながらも改善され、「サークル内に3〜4人の女性がいる」「同学年に1人か2人の女性がいる」という環境が醸成される。
また、ファンタジーブームはテーブルトークRPGブームとの相乗効果を産み、週一の会合による連続的なプレイ(セッション)を作り出した。バンドブームは演奏場所といったインフラ(箱)の整備を進め、長時間の演奏と連続した練習を可能にした。
その結果、第1世代の時よりも「不均衡な恋愛」の発生頻度が高まり、RPGマガジン誌・バンド誌などで、恋愛問題が取りざたされるようになっていく。
93年、井上純弌と金澤尚子によりRPGマガジン誌上で、『粘着湯気女』の連載がスタート
女性オタクが増えることで、オタク界における男女均衡は平準化され、リアルでのサークルクラッシュは減少傾向にある。
その半面、女性の男性サークル依存度が減ることにより、結果として文化系オタク内部においてさえ《モテの階層化》=《女性への慣れの差》が大きくなった。
「オタクカップル化する男女」「脱オタしてカップル化するオタク」「脱オタを嫌悪するキモメン・喪男」という構造が可視化。キモメンがオタク内のモテ男子に対して憎悪を抱く構図が生まれる。
むしろサークラ現象は、ネットに場を移しつつある。リアルでの邂逅に寄らないネット・SNSにおいて、論客系女性サイトがネットサークルの中心=《姫》と化していることが事例としてあげられるだろう。
ネット論客の白雪姫の周りに、姫の挙動に一喜一憂してクネクネとトラックバックを送りあう小人たち(ホビット、ドワーフ)。白雪姫の取り巻きになれずに皮肉なブックマークを送り続ける黒い小人(ゴクリ)というたとえが分かり易いか。
サークルクラッシュも「姫にネットを契機とした彼(小人が王子化)が出来てサイト閉鎖」「ゴクリが愛しい人を求めてストーカー化」という新たな発展形態を獲得しつつある。
93年頃のRPGマガジンも必読