初めてシーカヤックに乗ったのは、知床の海だった。 この時のために、家の近所のカヌー練習場で基礎は教わっていた。 ガイドさんとの初カヤック、5月の海は冷たく転覆すれば命取りになりかねないので、ガイドさんも表情が固かった。 とはいえ、普通の観光船ならばこんなに岩肌には近づけないし、海に落ちる滝の水しぶきを浴びることも出来ないのだから、カヤックの良さは充分に感じた。 次が、小笠原諸島の父島である。 長年、憧れた土地であった。 20代のころ、移住計画を立て、仕事も決め、もう出立するばかりという時に、足を痛めてしまった。当時、小笠原に医師はおらず、この足を引きずって島へ行くことは諦めなければならなかった…