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スタンダール症候群

(一般)
すたんだーるしょうこうぐん

歴史的に大きな意味を持つ寺院や神殿、そこに設置されている絵画や彫刻などを見た際に、眠気や吐き気などの心身症的反応を起こすこと。スタンダール・シンドローム(The Stendhal Syndrome)。

概要

1817年、フランスの作家であるスタンダールことMarie-Henri Beyleがフィレンツェを訪れた際に、このような症状が出たと自著に記したことから語源となった。特に日本だと奈良や京都、ヨーロッパならアテネやフィレンツェなどの寺院や神殿、教会、そこに設置ないし収蔵されている絵画や彫刻を見た時におこるものだとされている。その対象は個々によって異なるが、その作品ないし敷地内に立ち入るだけで強烈な睡魔に襲われたり、あくびを多発したり、脱力感、吐き気、過去の発作の再発などが起こるとの報告がある。精神病的反応である「エルサレム症候群」と同質のものであると思われる。
また自然界において信じられないほど美しいものを見た時に同様の症状が現れる場合もこの用語を使うことがある。

原因は解明されていないが、そのような場所では壁画や天井画などの芸術作品を鑑賞するため、長時間見上げたりして首を反らせることで、頸部の動脈が圧迫され、脳への血流が一時的に阻害されるために起こるとも考えられている*1

たとえば、30代前半のある男性デザイナーに、龍安寺石庭の写真を見せたことがある。すると、その瞬間に、男性は、「これは拷問です」と言いながら、きわめて強い反応を示した。気体だけが絞り上げられてくる激烈な吐き気を、写真を見ている間中、脂汗を流しながら、繰り返し出現させたのである。しかし、いかに強い吐き気であっても、反応には違いないので、実際に吐くことはまずないし、その写真から目をそらせば一瞬のうちに消える。
この男性は、それまで龍安寺の石庭を、写真を含めて、一度も見たことがなかったという。 そして、このうえなく感動しながら、 この石庭は、宇宙を現わしており、「芸術の一番底にあるもので、これ以上のものはありません」と述べたのである。

スタンダール症候群

特定の場所に近づくだけで、大きな症状が反応的に出ることは、決して少なくない。30代半ばのある男性は、思春期以降に発病した気管支喘息が、心理療法によってほとんど治まっていたにもかかわらず、アジア全域を半年ほどかけて旅行している中で、中国甘粛省の敦煌に立ち寄った際、久しぶりに再発した。敦煌に向かうバスの中から喘息様の咳が出始め、敦煌に着いた時点では、数年ぶりに本格的な喘息発作になっていた。敦煌には10日ほど滞在したが、そのうちの7日間は、ホテルで寝込んで過ごしたという。結局、見学したかった莫高窟には行かず、そこでは、ほとんど何も見ることなく終わってしまったのである。敦煌は高地にあるが、気圧の関係で喘息が再発した可能性は考えにくい。この前後に、もっと標高の高い場所に何度か行っているにもかかわらず、他の場所では出ていないからである。

スタンダール症候群

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