strake。航空機の主翼付け根を前方に延長したもの。「延長前縁」、「LEX」とも呼ばれる。
離着陸時や急旋回など高迎角時にストレーキから生じた渦が翼上面の気流を安定させ、失速を遅らせる効果を発揮する。
垂直尾翼基部に背びれを設けると、航空機が大きく横滑りしても垂直尾翼の効きが失われにくいことは第二次大戦前から知られていたが(DC-3輸送機、P-51戦闘機などで採用)、ストレーキは、いわばこれを主翼に応用したもの。ところが、この応用は意図的にではなく、偶然による。
ノースロップF-5A戦闘機の開発時、前縁フラップの電動作動器を収納するため、主翼付け根を前方に延長したところ、1.7%の翼面積増加に対し最大揚力係数が15%も増加した。ここで初めてストレーキの効果が発見された。
以後ノースロップは戦闘機の設計において直線翼とストレーキの組合わせを好み、F-5系の機体においてF-5E、F-20とストレーキを順次大きくする他、極端に大きいストレーキをもつP-530コブラを構想し、これが後にYF-17、そしてF/A-18に発展する。もっとも、F/A-18はストレーキに凝りすぎて空気抵抗増加というデメリットに悩まされた(その代わり同機は迎角に関する飛行制限がない)。
他のメーカーでもF-16、MiG-29、Su-27など、ストレーキを持つ機体は少なくない。