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タンギング

(音楽)
たんぎんぐ

概要

管楽器を演奏する際に舌を使って空気の流れを制し、音の区切りや立ち上がりを明瞭とする奏法のこと。管楽器奏者に求められる基礎的技術の一つ。*1

技術の種類

  • シングルタンギング
    • 舌で単純に「tu-tu-tu」と発音する。もっとも基本となる。
  • ダブルタンギング
    • 速いパッセージ、速いリズムに対応するための技術で、「tu-ku-tu-ku」と発音する。ダブルと言ってもシングルの倍速まで速くはならないが、かなりの速い曲に対応できるようになる。反面、よく練習しないと「ku」の音の立ち上がりが不明瞭となる恐れがある。
  • トリプルタンギング
    • こちらも速いパッセージ、速いリズムに対応するための技術だが、主に三連音符に対応するときに用いる。発音は「tu-ku-tu tu-ku-tu」「tu-ku-ku tu-ku-ku」などがある。
  • フラッター
    • ドイツ語でいう巻き舌のような感じで「trrr....」と発音する。コオロギの鳴き声のような断続音になる。曲中で求められることは少ない。

なお、上記の四種類を、全ての管楽器で行っているわけではない。必要とされるタンギングは楽器によって異なる事もある。クラリネットなどではダブルタンギング、トリプルタンギングは用いない。

意義

タンギングは、無理な力の入らない自然な発音により、きれいな音を出すことが大切である。タンギングの明瞭さを聞き比べれば、奏者の腕前も把握できる。音の頭に力を入れて強奏すればアクセントがついたり、破裂音のようになってしまうこともある。
この原因は、奏者の未熟さの他、タンギング=舌突き、との和訳が存在するために奏法に対する誤ったイメージがあることも指摘できる。
実際には、強いアクセントが必要であるときを除き、「突く」から想起されるような強い力は不要である。より正確には、ただ歯の裏に触れている舌を離す、喉側に引く、というようなイメージを持つと良い。舌抜き。舌引き、といったニュアンスに近い。
また、軽やかな音にしたり、重々しい音にするのもタンギングと喉、息の制御で作り出す。楽器の種類にもよるが、濁音系のタンギング(du-du-du)にすると重々しい音を作り出すこともできる。


朗読などで口調で話し手の感情を表現できるように、管楽器ではタンギングによって、基本的な表現を行うことができる。どのようなタンギングをするとどのような表現になるか、客観的に聞き取りつつの試行錯誤と修練が必要な技術であろう。


なお、上記すべて、発音という言葉を遣っているが、実際に楽器を吹くときは声には出さず、喉や口の形がその発音と同じになる、ということである。

*1:ちなみに日本の篠笛は指づかいで音を分け、舌は使わない。

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