プルーストの失われた日々を求めては紅茶とマドレーヌが引き金となって ある過去シーンの回想が始まる。 嗅覚と味覚、確かに五感のなかではデリケートな感覚である。 場所と匂い。 懐かしい匂いのする場所は回想・連想させるものがある。 ある香りが私にある場所を蘇らせる。 木のアロマ、特に松の精油の香りはアトリエ、高校時代のアトリエを思い出す。 松の木の精油の香に、私は一機にアトリエへ連れていかれる。 ターペンタインは油絵具を溶かすのに一般的に使うオイル。 松の精油で揮発性が高い。 ターペンタインを長年使うための部屋・アトリエにそのアロマがしみ込んでいて、 部屋に入るとまずこの香りにふわっと包まれる。 ラ…