1つ問題がある。日本国憲法第1条に言う「国民」とはどのような存在かということである。 ほとんどの人が、日本国籍を有し今生きている人のことを「国民」と考えるだろうが、「死者の民主主義」という考え方もある。 《現今の諸事雑事を問題にする場合、いやしくも平凡人の一致した意見を重視するのであれば、歴史や伝説を問題にする場合、いやしくもそれを無視すべき理由はない。つまり、伝統とは選挙権の時間的拡大と定義してよろしいのである。伝統とは、あらゆる階級のうちもっとも陽の目を見ぬ階級、われらが祖先に投票権を与えることを意味するのである。死者の民主主義なのだ》(チェスタトン「おとぎの国の倫理学」:『G・K・チェス…