知人の薦めで、埼玉県川口市安行出羽にある一隅(いちぐう)というカフェに行ってきた。 この店にいる看板犬のチャコちゃんは、自分で動くことができない。それでも、毎日店主の高塩さんと一緒にお客様をお迎えしている。 すやすやと眠っているかと思えば、時折目覚めて「あーんあーん」と甘えた声で高塩さんを呼ぶ。お客様の途切れないランチタイム、高塩さんは厨房で忙しく動き回る。なかなか出てこない愛する高塩さんに、今度は少し大きな声で「ウォーン」と。 常連風の男性が、「そうか、そうか」と近付き身体をさすると、ホッとしたように鳴き止み、静かに目を閉じる。 周囲のお客様の会話に、ピンと聞き耳を立てながらまた寝入る。 し…