終わりへと向かう母の命を、静かに見つめながら綴ったドキュメンタリー
ガンを患った母親の看病のため、実家へ戻った加藤治代は、発病から3年、母の姿をカメラに収めはじめる。いつもと変わらない笑顔で台所に立つ母。真剣な目で絵筆を取る母。買ったばかりの新車と写真を撮る母。農作業に精を出す母。入退院を繰り返しながら、母は残された命を精一杯生きている。やがて、横たわる母の顔に白い布が被せられる日がやってきた。高齢の祖母は、加藤の撮った映像で母の思い出を辿り続ける。
本作は、2005年山形国際ドキュメンタリー映画祭でアジア千波万波部門最優秀賞と国際批評家連盟賞を受賞、海外のドキュメンタリー映画祭からも招待を受けた。