学生時代、東大病院の細菌検査室によく通っては恩師のT医師から色々な臨床にまつわる教えを受けていたが、その中で特に印象に残っている教えとして「スコアリング・ツールを使えば、目の前の患者が病気を抱えているかの目安にはなるかもしれないが、実際に識別できるわけではない」というものがあった。この教え、なかなかに掴みどころがなくて、言わんとすることは分かるのだけれど、分かりやすく人に伝えるのが難しい教訓とも思ったわけである。 章末問題を解きながら教科書を貪り読む。懐かしくて満たされた気持ちに 実際に、臨床でこの教訓が正しいと実感する場面は何度もあった。片頭痛の診断によく使われるPOUNDというスコアリング…