いちげんさん (集英社文庫)作者:デビット・ゾペティ集英社Amazon デビット・ゾペティの『いちげんさん』は1996年に発表されたようだから、もう20年も前のことだ。この小説の存在は知っていた。だけど、読んでなかった。京都にあこがれて、ヨーロッパからやって来た外国人留学生が日本人女性と恋に落ちるというあらすじだけ聞いて、スルーした。今、読み終わって言えることは、ぼくはこの小説を読むのにいちばんふさわしい人間だということだ。ぼくは京都在住の日本語教師であり、『いちげんさん』の主人公が文学部でせっせと日本近代文学を読んでいた、おそらくその数年後、ぼくもまた「たいした理由もなく」大学で文学を学んで…