19世紀のイタリアでは、オペラが最高の盛り上がりを見せていた時期です。オペラを作ってこそ、作曲者として認められる時代でした。 そうした世間の風潮に流されず、ひたすら、わが道をいくで、活躍したのが、歌曲作曲家フランチェスコ・パオロ・トスティです。ローマを根拠地として、作曲活動を行なった人です。 私が、この作曲家に興味を持った理由は、若い時分、音大生の友人が声楽科の友人を紹介してくれるというので、その方が、当時、レッスンで、トスティに取り組んでいると聞き、話が盛り上がるよう、予習するためでした。1枚だけCDを買い、今でも時々聴いています。 彼がナポリの音楽院で学び始めたのは、才能を認められた11歳…