Torino(伊)、Turin(英)
イタリア北西部ピエモンテ州(Regione Piemonte)の州都で、人口約91万人の大都市。英語名はTurin(ラテン語のTaurini、さらに古くはケルト系のTauより)。人口でイタリア第4の都市である。フィアット、自動車工業とサッカーで有名。またマティーニの材料となるベルモットで有名なチンザノ社の本社もここである。その他、愛知県名古屋市と2005年5月27日に姉妹都市提携を結んでいる。2006年冬季オリンピック開催地。
フランスと接するピエモンテ州の州都。ポー川沿いにある。イタリアの基準では大都市であるが、中心街は歩いて移動できる大きさである。ポルタ・ヌオーヴァ駅からサン・カルロ広場を通ってカステッロ広場へ続くローマ通りが繁華街で、高級カフェやブランドショップが並ぶ。また、ポー川を越えた丘陵地は高級住宅街で、ユヴェントスのサッカー選手が多く住む。郊外南部にあるミラフィリオーリには広大なフィアットの工場群がある。マルゲリータ通りにそって、アラブ人街や中国人街がある。ただし、トリノでもっとも多い移民は東欧系、とくにルーマニア系である。また、特に東欧やボスニアでの混乱や迫害によりロマ系の移民も増えているようだ。
大都市であるので、必ずしも治安は良くない。特に自動車を対象とした犯罪が目立つようである。治安については、夜間のポルタ・ヌオーヴォ駅周辺(特に西側の裏路地)と共和国広場周辺は気をつけたほうが良いと地元ではされているようだ。地下通路も犯罪が多い場所とされている。また、ポー川の周辺には麻薬中毒者が集まるとのことである。しかし、犯罪は場所だけの問題ではないので、深夜や早朝の人通りの少ない通りや落書き、ゴミが多いところは避けるなど常識的な対策をとることがより重要である。
ローマ時代に帝国北辺を守るため砦が建てられたのが始まり。中世にサヴォイア家が獲得し、ポー川流域支配の足がかりとした。スペイン継承戦争でサヴォイア家がサルデーニャ島を領有しサルデーニャ公を名乗ると、公国の首都として発展する。バロック期に現在の街の原型が作られた。中心街の建物はこの時期のものである。
19世紀のいわゆるリソルジメント運動によりサヴォイア家がイタリアを統一すると、統一イタリア最初の首都となる。首都がフィレンツェ(その後ローマ)に移転すると一時衰退するが、ポー川流域の水力を利用し、工業都市として発展する。特にフィアットによる自動車生産が重要な産業である。また、世界で最初にチョコレートの工業的な生産が行われた都市としても知られる。また、カクテル等に用いられるカンパリもトリノで発明された。
近年のイタリア工業の衰退により、街の規模は再び縮小しつつある。
工業都市であり、観光スポットはカステッロ広場にある王宮と郊外のストゥピニージ離宮くらい。あとはエジプト博物館、国立映画博物館、近代美術館GAMなどの美術館、博物館がある。貴族の館を改造したアコルシ美術館なども面白い。典型的なバロック都市で、都市計画に基づいて作られた街並は大変美しい。また、フランスの影響と冬の寒さのせいか、カフェとドルチェが発達している。とくにチョコレート類が有名で、チョコレート菓子のバラッティーニ、チョコレートを溶かして飲むチョコラートカルド、溶かしたチョコレートにコーヒーを入れクリームを乗せたビチェリンなど。また、ジェラートもおいしい。
代表的なカフェは、カステッロ広場にあるBARATTINI&MILANO(チョコレート菓子バラッティーニが有名)、サン・カルロ広場のTORINO、SAN CARLO、ポー通りのFIORIO(コッペ類が有名)などである。これら高級カフェは、座るだけで席料を取られたりするが、雰囲気がすばらしいので一度行ってみよう。カフェではないが、駅近くのローマ通りにあるGROMは天然フレーバーのジェラートを売っている。チョコレートの製造ではカファレルがもっとも知られているが、最近では味が落ちているという意見もある。レオーネの飴はリンドウなど独特の風味があり、街中のバールで購入できる。
また、チョコレート工場で直販しているところもある。GOBINO GUIDO(15/B via Cagliari)など。営業時間が限られているので注意。
トリノ大学はエラスムスが学んだことで知られる。また、数学者のペアノが教授であったことでも知られる。工業都市の性格を反映してか、数学や情報科学の研究で知られている。