イードメネウスは、トロイア戦争を描いたホメーロス作の「イーリアス」では、いろいろな場面で活躍しています。彼はここではピュロス王ネストールほど高齢ではないが、それでも白髪の交じる、もう若くはない人物として描かれています。まずは、戦場において彼が自分の氏素性を名乗る場面を紹介します。 イードメネウスは 大音声で呼ばいあげ、大層もなく得意で言うよう、 「デーイポボスよ、いかさま、私らが同格だとでもいえたものかな、 (中略)それなら自身私に 面と対(むか)って立ったがよい、 そしたら此処に ゼウスの裔とて来て居る私が、どれほどの者か思い知ろうよ。 まず御神(=ゼウス)が ミーノースをば、クレーテー島の…