ドルーピー(Droopy)は、MGM のもとでテックス・アヴェリーが創作したアニメに登場する架空の犬である。しおれた様な(droopy)顔つきからドルーピーと名付けられた。
小柄で眠そうな目をしており、いつもはのんびりとした風を見せているが、誰かを追いかけるときは物理法則を超越した高速な移動をする。腕は強くない様に見えるが、怒った時は牛の尻尾をつかんで振り回すほどの力を発揮する。はじめ警察犬として登場するが、西部の開拓農民だったり、富豪の愛犬、デキシーランド・ジャズ音楽家などの顔を持つ。一般的にはバセットハウンドとされている。
1943年、テックス・アヴェリーが監督した劇場用短編『Dumb-Hounded』の主役として初めて登場する。この時は劇中で名前を呼ばれることはなかった。最初の頃、公式には Happy Hound と名付けられていた。1946年、第四作の『Northwest Hounded Police』ではマクプードル(McPoodle)という名字が与えられている。1949年、第五作の『Señor Droopy』で初めてドルーピーという名前が与えられた。1950年、第八作『The Cump Champ』では「ドルーピー・プードル」と呼ばれている。
1953年公開の第十七作『Dexieland Droopy』まではおおむねテックス・アヴェリーがドルーピー作品を監督している。1952年公開の第十二作『Caballero Droopy』は、アヴェリーが過重労働の疲れを癒すための長期休暇をとっている間に、ディック・ランディが監督した。1953年にアヴェリーが MGM を去った後、マイケル・ラーは残された第17作『Deputy Droopy』を完成させるために、アヴェリーと連名の形で監督を努め、1955年に公開させた。1956年公開の第十八作に数えられる『Millionaire Droopy』は、第六作『Wags to Riches』をシネマスコープのために直したものである。1957年公開の第十九作『Grin and Share It』以降はマイケル・ラーが監督した。しかしその時には、MGM のアニメ作品は、予算削減のために質が低下し、評判が落ちつつあった。MGM は賑やかしとして旧作の復刻を始め、56年後半には旧作と新作の収益が半々になった。57年5月、MGM のカートゥーン・スタジオは遂に閉鎖され、58年7月公開の第24作『Droopy Leprechaun』が最後の劇場用短編になった。
後に、『トムとジェリー』シリーズの一部として、より低予算のテレビ向けドルーピー作品が作られた。1990年代のテレビアニメ『トムとジェリーキッズ』には、ドルーピーと息子のドリップルが登場する。これのスピンオフ作品として、1994年には『Droopy, Master Detective』がテレビで放送された。他のいくつかの『トムとジェリー』や『ロジャー・ラビット』シリーズの映画などでも姿を現している。
日本では『トムとジェリー』に挿入され、1970〜80年代にかけて繰り返し再放送された。そのため「トムとジェリーの真ん中の話」としてお馴染みになった。はじめ、玉川良一が吹き替えたが、近年発売された DVD などでは中尾隆聖が声を当てている。
# | 原題 | 邦題 | 監督 | 公開 |
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1 | Dumb-Hounded | つかまるのはごめん/むっつりワン君のお手柄 | テックス・アヴェリー | 1943年3月20日 |
2 | The Shooting of Dan McGoo | アラスカの拳銃使い | テックス・アヴェリー | 1945年3月3日 |
3 | Wild and Woolfy | 迷探偵ドルーピー西部の早射ち/早うちワン君 | テックス・アヴェリー | 1945年11月3日 |
4 | Northwest Hounded Police | 迷探偵ドルーピーの大追跡/むっつりワン君の早業 | テックス・アヴェリー | 1946年8月3日 |
5 | Señor Droopy | チャンピオン誕生 | テックス・アヴェリー | 1949年4月9日 |
6 | Wags to Riches | 財産をねらえ | テックス・アヴェリー | 1949年8月13日 |
7 | Out-Foxed | いかさま狐狩り | テックス・アヴェリー | 1949年11月5日 |
8 | The Chump Champ | スポーツの王様 | テックス・アヴェリー | 1950年11月4日 |
9 | Daredevil Droopy | ドルーピー君サーカスへ行く | テックス・アヴェリー | 1951年3月31日 |
10 | Droopy's Good Deed | 最優秀ボーイスカウト | テックス・アヴェリー | 1951年5月5日 |
11 | Droopy's ”Double Trouble” | 双児騒動 | テックス・アヴェリー | 1951年11月17日 |
12 | Caballero Droopy | メキシコ良いとこ | ディック・ランディ | 1952年9月27日 |
13 | The Three Little Pups | 勝利はいただき | テックス・アヴェリー | 1953年12月26日 |
14 | Drag-a-Long Droopy | 西部の大決闘 | テックス・アヴェリー | 1954年2月20日 |
15 | Homesteader Droopy | 西部開拓史 | テックス・アヴェリー | 1954年7月10日 |
16 | Dixieland Droopy | デキシーランド犬 | テックス・アヴェリー | 1954年12月4日 |
17 | Deputy Droopy | 呼べど叫べど | テックス・アヴェリー、マイケル・ラー | 1955年10月28日 |
18 | Millionaire Droopy | テックス・アヴェリー | 1956年9月21日 | |
19 | Grin and Share It | お金と友情 | マイケル・ラー | 1957年5月17日 |
20 | Blackboard Jumble | いたずら教室 | マイケル・ラー | 1957年10月4日 |
21 | One Droopy Knight | 竜退治 | マイケル・ラー | 1957年12月6日 |
22 | Sheep Wrecked | まぬけなオオカミ | マイケル・ラー | 1958年2月7日 |
23 | Mutts About Racing | スピード狂 | マイケル・ラー | 1958年4月4日 |
24 | Droopy Leprechaun | 幸福を呼ぶ小人 | マイケル・ラー | 1958年7月4日 |