ナクチューを出発するとすぐに、漢名で“怒江”と呼ばれるナクチュー川があった。この川ははるか南のミャンマー(ビルマ)のモルメンまで続くサルウィン川の上流である。 道は西南の方向へ続いていた。高い山のない大地は、全体的になだらかな平原である。北チベット高原は、標高4,400メートルくらいで、ゆるやかな起伏のある平原になっており、ところどころに小さな湖がある。樹一本生えていないが、草は生えている。 ヤクを追っていたチベット族の青年 ナクチューから60キロくらい走ると、道の左右に冠雪した山々があった。大地から7、800メートルの高さだが、標高は5,000メートルを越している。車が走っていると、西の山麓…