(本書の犯人を明かしています。) 「復刊アンケート第9位」。私が持っているハヤカワ・ポケット・ミステリの『旅人の首』(2003年、原書刊行1949年)には、例のあのビニール・カヴァーの下に、こう謳い文句が載った帯が付いている。ハヤカワミステリの50周年記念で43年ぶりに再版されたものである[i]。 待望の復刊だったらしいのだが、本書を読んだミステリ・ファンは、さすがブレイク、埋もれていた傑作だ、と感嘆これ久しゅうしたのだろうか。それとも、幻のままのほうがよかったなあ、と嘆息したか? 初めて読んだのが、この再版本だったのだが、内容はきれいさっぱり忘れていたので、再読してみた。そして思ったのは、・…