著者:ハリー・ムリシュ翻訳:長山さき 出版社:河出書房新社 第二次大戦末期のオランダ。警視が何者かに射殺された事件がきっかけに 両親や兄を殺された少年、アントンの人生と事件の真相が描かれる。 人が生きる上で起きる物事には裏も表も、良いことも悪いこともある。 善悪の基準は人とその置かれた状況、環境によって変わる。 真相の全容が見えてくることで様々なものが変容していく感覚に陥り、考えさせる。 読み易いにもかかわらず深く、複雑な物語だ。 40年前の作品が今になって日本で翻訳されたようだが、 これだけの傑作が今まで出版されてこなかったのは不思議だ。 オーストリア=ハンガリーで生まれ、オランダに移住し、…