標茶営林署から二十二キロメートル。湿原地帯に阻まれたため、かつては人跡未踏と言われたこの無立木地も七千二百ヘクタール余りの巨大な造林地となった。 事業の最盛期にはたくましい機械の音に加え、連日、見学に訪れる人たちで活気を呈するこのパイロットフォレストも、今は深い眠りにつき静まりかえっている。 この広大な造林地を、冬の猛威と闘いながら、野ウサギや野ネズミの被害から守り続ける越冬隊は八名。太田造林事業所に詰めながら、毎日、地道な作業を続けている。 まず、今年ほど雪の少ない年はない。 野ウサギの捕獲は、その足跡を追って通り道に針金のワナを仕掛けるため、ある程度の雪が降ってくれないと野ウサギが自由に跳…