ピーター・トレメインの修道女フィデルマの采配を読んだ。本書には「みずからの殺害を予告した占星術師」、「魚泥棒は誰か」、「養い親」、「「狼だ!」」、「法定相続人」の5編が収められている。この中の「養い親」は珍しい「養育制度」というアイルランドの制度についてのミステリだ。当時のアイルランドでは要となる制度と書かれていて、子供は7歳になると預け先の家庭で育てられ教育を受け、その責任を引き受けたものが子供の養い親となった。子供は7歳になると養育に出され少女は14歳、少年は17歳に達したと見なされたときにその期間は終わった。養育制度により家と家のつながりは強固になり、養育によって生まれた関係は神聖なもの…