流れ落ちた汗が、眉間を伝い目に染みる。一月の中旬にもかかわらず、私の顔は汗に塗れていた。 手にしたポリバケツ一杯の水を、足元へぶちまける。十キロ近い重量から解放された両腕を曲げ伸ばしし、少しでも筋肉を休ませようとする。今水をまかれたばかりの地面ははやくもその黒い染みを減らしはじめ、目に見える速さで乾いていく。熱した鉄板に水を流した時のように。しゅうしゅうと泡立ち蒸気をあげ、やがて無数の小さな泡となって消えていく。私はポリバケツを抱え、小走りで今来た道を引き返す。次の水を汲みに行かなければ。 ーーーーーーーー 人と関わるということに苦手意識のあった私は前の職場を一か月もしないうちに退職。実家に引…