ーーーあの日の、夢を見た。 自分の手の中で乾いた音が響き、硝煙と錆のにおいが立ち込めていた。ひたひたと足元に生暖かい水が這い寄り、堪え切れない吐き気が私を襲った。 私は生き延びる為に、盗みもした、人を騙しもした。そして、それらとは比べ物にならない淀んだ感覚に心が押し潰されそうになる中、たった一つの感情が私を私でいさせてくれた…。 ああ……、こうしてここに立っているのが……、あなたでなくて、よかったーーー。 『天使の惨禍』 「……ロット、シャーロット」 少しずつ、私の名前を呼ぶ声がはっきりと響いてきた。ああ、プリンセス、そんなに心配しなくても、私は大丈夫だよ。しかし、伝えたかったその言葉は口から…