『ヘンリー・ジェイムズ短編集』 大津栄一郎編訳 岩波文庫 「私的生活」 「私」は才能のない二流の人間。スイスのリゾートホテルで有名人たちと同宿となり、社交生活を楽しんでいる。メリフォント卿夫妻、文壇の大立者クレア・ヴォードレー、美人女優のブランチ・アドニーとその夫。ブランチ・アドニーはヴォードレーに戯曲を書いてほしいと依頼しているが、魅かれているのはメリフォント卿だ。 「もうひとり」 二人の老若のオールドミスが、遺産で贈られた古い屋敷に同居することになる。そこに現れたのがひとりの男、と言っても亡霊だ。この亡霊の男をめぐって三角関係が始まる。この亡霊は実在せず、幻覚なのかもしれなかった。 「にぎ…