物理学者のジョン・スチュワート・ベルが提唱した、量子力学において最も重要な定理。
二つの素粒子が一度でも接触したことがあれば、両者がどんなに離れた場所にあっても、片方に何らかの変化があったときに一方にも瞬時に(時間ゼロで)変化が起きるというもの。例えば、宇宙で最速の情報伝達手段は光を用いることであり、その速度は秒速30万km。したがって、二つの粒子が3000万km離れていれば、片方の変化が他方に伝わるには、最も速くても100秒かかるはずであるが、ベルの定理によってゼロ秒で伝わることになる。
2022年のノーベル物理学賞でベルの不等式の破れの実験が受賞し、(観測範囲内で)大いに盛り上がりを見せました。 それで気になってインターネットを駆使してベルの不等式を調べても、なかなかイメージが難しく、「そもそもこの不等式ってなに?」、「破れたらダメなの?」、「この不等式が成り立ってて欲しいという気持ちになれない。」と言った声が聞こえてきそうな気がします。 そこで今回は、ベルの不等式を直感的に理解するために図を使用した説明を試みます。 この記事を読むことで、ベルの不等式が如何に成り立っていそうか、敗れることがどれほど奇妙かを心で理解できることを目指します。 ベルの不等式には自分の知る範囲でも複…