「ガターン」。大きな音とともに横の机の椅子がひっくり返った。黒い学生服のM君が椅子のまま仰向けにひっくり返ったのだった。彼は硬直して歯を食いしばっている。口からは泡を吹いた。隣席のN君は慣れた調子で口にハンケチを突っ込んだ。しばし小刻みに震えた後M君はぐったりと意識を失った。教室の床に池が出来たのはM君の失禁だった。 それが「てんかん」という病とその時知った。中学1年生。クラス編成の時から小柄なM君はあまり人とも馴染めずに背の高いN君がいつも寄り添っていた。Mとは小学生からのクラスメートだから面倒見るのは慣れているんだ、そうN君は言うのだった。 その後も、まれにM君は授業中にぶっ倒れた。中学校…