憧れだった懐かしき靴の行方 20歳になるかならないかの頃、「ペニーローファー」という靴が登場するアメリカ小説に出会った。さすがに遠い昔のことで、おそらくサリンジャーの『フラニーとゾーイ』だったと思うのだが定かではない。 当時は “私立高校に通う生徒たちが着る制服の一部になっている革靴” という印象しかなかったが、その後、アメリカにG.H.Bassという靴ブランドがあることを知ってからこのタイプの靴に俄然興味が湧いてきた。 この靴を服飾辞典風に書くと『靴の甲部分にベルト状の「サドル」が付き、そのサドル中央に施されたスリットに1セントコインを嵌め込んで履く短靴。1950~60年代のアイビーリーガー…