民主主義の歴史は古いが、その足取りは軽やかなものではなくいばらの道で、隘路をやっと潜り抜けて、今日を迎えていると言える。将来も決して楽観することはできないが、これまでの足跡を検証して、今後に生かしていこうというのがこの本の趣旨である。冒頭で民主主義が今日迎えている危機を4つほど挙げている。それらは、①民主主義が好ましくない方向に展開して衆愚政治を引き起こすポピュリズムの台頭と、②秩序と国民生活の安定・発展を保障できるならば、AIとグローバル化時代にいち早く政策決定ができる「チャイナ・モデル」が望ましいとする独裁的指導者の増加と、③人工知能・生命工学の発展によって、有力者による「デジタル専制主義…