保江邦夫『神の物理学』(海鳴社、2017) 神の物理学 本書は葦原瑞穂『黎明』の第2章を理論物理学者の立場で書換えることを企図して書かれている。さらに、松井守男画伯の貴重な絵をカラーで収めている。素領域理論(Elementary Domain Theory)は湯川秀樹博士が晩年に提唱した物理学の理論だ。その後、著者を含む湯川門人たちや数学者・岡潔や浄土宗光明派僧侶・山本空外らとの議論や理論化をへて現在に至る。特に、著者・保江邦夫が1981年に発表した保江方程式(下)が素領域理論に数式を与えたものとして重要である (Kunio Yasue, 'Stochastic calculus of var…