『猫島ハウスの騒動』若竹七海(光文社文庫) 初刊2006年。 猫ばかりの島、通称・猫島。高校生の虎鉄は海岸でナイフを突き立てられた猫の剥製を見つける。たまたま観光で島を訪れていた葉崎署の刑事・駒持は、猫アレルギーに苦しみながらも事件の背後に何かが潜んでいると感じて調査を続ける。剥製は土産物屋兼書店店主でありポルノ小説の翻訳家でもある三田村成子の店で売られたものだった。買っていったのは猫目的の観光客とは思えないラテン系の男だ。 虎鉄の幼なじみ響子は祖母の営む民宿〈猫島ハウス〉を手伝っていたが、祖父の弟・幸次郎が十八年前に起こった勧当銀行三億円強奪事件の一味だったと知り、衝撃を受けていた。宿泊客の…