「支那全体に、恋愛は三組以上あるだらうかと思ったのは果して僕だけの感想であらうか。文化が四千年も連続すると、その種族の肉体の細胞は、恋愛を要求する必要がなくなって来るのに相違ない。しかし、肉体が、何故に肉体であるかを證明するためには、飽くまで性欲が必要であるらしい」 横光利一、昭和三年の評論である。 約一ト月の上海滞在を終えて帰朝(かえ)ってほどもなく、世間に表した文だった。 (Wikipediaより、横光利一) いったい彼は大陸で何を見たというのであろう。どんな人情、風俗に触れ、接待された挙句の果てに斯かる所感を持ったのか。 大いなる謎と言わねばなるまい。 ただ、本能満足の技巧に関して、アチ…