封切り三日目。 席数118の【シアター5】の入りは五割ほど。 2022年度ノーベル文学賞を受賞したフランス人作家『アニー・エルノー』の小説〔事件〕を基にした、とエンドロールで触れられる。 劇中の主人公は1940年の生まれとの設定で、作家本人も同年生まれなことから、おそらくは自身の若き日の実体験をもとに綴った半自伝的作品であろうと察しは付く。 望まぬ妊娠をした若い大学生が中絶をするための孤軍奮闘。 1960年代初頭のフランスは人工妊娠中絶が違法とされていた時代。 ありがちな他のケースと同様、主人公の『アンヌ(アナマリア・ヴァルトロメイ)』は文献を調べ、独力で対処しようとするが、どれも有効には機能…