14回にわたってご紹介してきた本書の最後の作品のご紹介になります。今回はこれまでのような「ちょっと変な感じ」を通り越して、「猟奇的な感じ」にまで踏み込んでいます。果たして殺人詩人が書いた詩集は芸術に値するのか? 作者であるマーク・ストランドは何を語ろうとしているのか? 最後の謎解きにお付き合いください。 《あらすじ》 大西洋沿いにある貧しい小さな島国の国家文芸評議会は、毎年出版された本の中からもっとも優秀なものを選んで賞を授与していた。その年の最終選考会では、検討協議に先だって評議員たちのあいだでは既に合意に達していた。ある一冊の本が群を抜いて傑出していたのだ。それはようやく日の目を見た私の友…